11月1日から、産まれ育った東京は杉並の、久我山ってところに戻って来たのね。
理由は諸々あるんだけどそれはまあ良いとして、とにかくもう一度落ち着いてじっくり創作に取り組むために帰ってきたんだ。
母親の家にも、祖母の家にも徒歩数分と近くに居を構えるというのは、なんとなくやはり近くに居た方が心強いだろうなんていう気持ちもなかったわけじゃないが、母は来週からシドニーに遊びに行くし、祖母は週に2回バスに乗って麻雀に通っているしで、取り越し苦労というか、創作に集中できそうです。はい。
で、住環境が以前よりも良くなった事は勿論なんだけど、やはり一番大きいのは、仲間が集まり易くなったということですね。
バンドでベースを弾いているクリスは、自転車で10分程度の距離に住んでいるということもあって、今回の引越しを誰よりも喜んでくれている。
日本に来て、イギリスでの生活と最も異なり残念に感じる点は、友人達との家が離れている事だって彼は言う。
彼の故郷ウェールズのカーディフという町は、小さな町ということもあり、友人達が皆近くに住んでいる。また、遊びに出かける場所も限られているので、音楽を聴きに、酒を飲みにパブに出掛ければ、約束していなくても誰か友達と会えるということだった。
それには良い点も悪い点もあるとは思う。良い点はそうやって仲間と語り合うことで、常に高め合っていくことが出きるということであり、また単純に騒いで発散することも簡単だよね。悪い点は、その小さなコミュニティに安穏としてしまって、発展性のない会話に終始したり、傷の舐め合いで大きな世界に出ていけなくなったりすること。
結局は自分次第というところなんだけどね。何であれ物事には多面性があるから。
それはそうとして、やはり一緒に物を作っていくチームであったり、尊敬し合える仲間であったりとは、頻繁に集まって意見と酒を交わすというのは非常に有意義なことであるわけです。
まだこっちに越してきて1ヶ月も経ってないけれど、既にクリスは3回来てくれて、一緒にレコードプレーヤーでアナログ盤を聴いて過ごした。彼を含めてみんなが遊びに来てくれた一番最初にかけたのが、ボブディランの「時代は変わる」というLPだった。
クリスは、「50年後もこの日にみんなでこのレコードを聴いた事は忘れない」と言っていた。ロマンチストなんだよね。うん、その頃まで生きてたら覚えておくわ。
つい先日もgamusoのライブで共演したStuart O'Connorという素晴らしいミュージシャンが自主制作のアナログ盤を販売していたので、クリスはそれを買って、今度家で聴こうという話になった。
台湾人の友人が持ってきてくれた台湾ビールが幾らかあるものだから、そのレコードをつまみに飲む夕べになるんだろう。
ちなみに、大好きな台北の街の大好きな仲間達もみんなそうやって近くに住んでいて、時には可愛らしいカフェに、時には怪しげな地下のライブハウスに集まっては、語り合っている。
久我山を離れて五年弱くらい、街は殆ど何も変わっていなかったけれど、自分自身も自分を取り巻く環境も、仲間達との関係も様々に変わってきていたんだね。
ここに戻ってくる前から考えていたアイディア、やりたいと思っていたけれど勇気がなくてできなかったことも、仲間達と一緒だったら出来そうな気がする。そうやって新しいステージに向かう心境になれたことが、引っ越してきて一番良かったことかなと思う。
みんなも機会があれば、是非家に遊びに来て下さい。好きなレコードをかけてもらって、色んな話をしよう。
ちなみに、ゴールドフラッシュという男も既に3回来て、いずれも爆睡して帰っていったので、みんなが来てくれる時も彼は幸せな夢をみているかもね。ロマンチストなんだよね、要は彼も。
ss
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